7/10

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「わかった!もぉ、やめてくれ。聞いていて恥ずかしいっ」 紅潮した顔を袖口で隠して、猛の言葉を遮る。 驚いた顔。 「どうしたんスか」 それは俺が聞きたいよ! なんだよ。 なんで、こんなガキを色っぽいとか。 男にしか見えない野郎に! エロいんだよ! つか、そんなこと、思う俺がエロいんだよっ あぁぁ……。 自己嫌悪。 「ちょっと、待ってろ。落ち着かせてくれ」 まじまじと見んな。 恥ずかしくて、顔色が戻らねぇ。 「そんな顔してるとキスしますよ?」 「はぁぁ!?馬鹿をちょこっと見直したら所詮は馬鹿だな」 猛はヘラヘラと笑うと 「なんか冷たいモン持ってきましょうか?」 と腰を浮かす。 ベッドが軋んで、一瞬いやらしい方向に思考が傾く。 「悠紀さん、」 顔を隠していた右手に、大きな手が重なる。 「……っか!近ぇよっ!!」 目の前に、猛の顔。 驚いて、左手で猛の肩を押す。 フッ。 「……非力。」 一気に近付いた猛の顔に、ぎゅっと目を閉じる。 額に、微かに触れた唇。 「ダメですよ、目なんか閉じたら。」 あ……。 不意に離れていった猛の気配。 「飲み物、取ってきます」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加