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「その上で、どうしても退学以外の道が見えないのなら、どうすればいいか考えればいい。最悪、自分がしていることの意味がわかっていれば罪を背負ってバックレるのもありだな」
猛ははっきりと驚いた顔をした。
「……え?」
「わかっているか、どうか。重要なのはそこだろ?わかっていても義務に従えない場合もある。その時は土下座してでも自分を貫くしかない。相応の覚悟と礼儀は通さなきゃ、躓いて堕ちていくしかないけどな?」
無知が一番の罪だ。
その場で人を傷つけるだけではなく。
知った時の自分のダメージも激しい。
知ってさえいれば、とれたはずの行動を思って後悔する。
「少なくとも、お前は人の言葉を聞くことができる。そしてその言葉で自分の過ちを素直に認めることができる。こればかりは他人から与えることはできない」
「親からしか、得られない財産だ。感謝しておけよ?」
かっとして、口を開きかけた猛の頭を撫でる。
「事実だ。感じられなくても、信じろ。」
断言する。
お前を、お前でいさせている多くの要素は親から与えられたものだ。
俺達は、いつも見失いがちだけれど。
親だって人間だから過ちを犯し。
俺達を無為に傷つけるけれど。
ひとつでも、自分に美点があるならば、それは親から与えられた愛情を示すものだから。
今は感じられなくても、そこに確かにあるものを、信じて欲しい。
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