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「俺は、お前の夢は本物だと思う。海に対するお前の気持ち、その年で本物の夢に出会えたお前を尊敬するよ。」
夢。
ちくりと胸が痛む。
「だからこそ、下手なことで躓くな。本物の夢を追い掛けるのなら、半端な覚悟をしているんじゃない!!
たかが3年をなぜ待てない?人を傷つけてまで手に入れた夢は、まだ輝いているか?本当に大切なことは何か、見失うなよ」
キラキラしたままでいて欲しい。
後悔と懺悔に塗れた夢は、もう夢とは呼べない。
純粋な、自分の聖域を守るためには、しなければならないことは無視してはいけない。
「それで、」
叱り飛ばすような口調を和らげて、俺はゆっくりと微笑んだ。
「まず、お前がしなきゃいけねぇことは何だ?」
すっかりうなだれてしまっていた猛が、突然優しくなった俺を見上げる。
その目。
つい笑ってしまう。
伺うような、なんとも情けない顔。
肉食系の顔をしているだけに、似合わない。
そのアンバランスが可愛い、と言ったら猛は怒るかな?
「約束を守ること、っスかね?」
「どの約束?」
「勉強……教えて下さい」
俺は笑いながら猛の肩を叩いた。
「っで!……加減してくださいよ」
「おら、勉強すんだろ?とっとと机片付けろ!!」
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