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修一の家まで、最寄から徒歩20分。
俺達は肩を並べて黙々と歩いていた。
ずり、ぺた。
ずり、ぺた。
少し右足を引きずる修一の足音が耳につく。
家に着くと、俺達は無言のまま修一の部屋に入る。
これで何度目か。
ため息が出る。
無言のまま、修一の部屋に入って、
「帰れ」
唐突に修一が言うまで無言で過ごす。
それは、部屋に入った直後の時もあれば、2時間ほどの沈黙の後だったり。
これは俺にとっては拷問に等しかった。
わざわざ、逆方向の家まで俺を連れて帰って。
何をするでもなく、お互いが沈黙に耐えている。
何かを言おうとして顔を上げて。
結局舌打ちをして黙り込む。
本当は、修一のなかにも。
俺のなかにも。
感情は溢れ出そうと暴れているのに。
それを言葉にする術を知らないみたいに……。
かなしいな。
俺達は、会話を交わす以外に理解し合うことはできないのに……。
だからこそ、俺達は会話を恐れているようにも見える。
本心を知りたい。
近付きたい。
理解したい。
けれど、カタチある絆を持たない俺達は臆病で。
相手からその手を離されるのは、今日かもしれないと。
そして、今日も繰り返すのか?
今日はどれだけ耐えればいい?
不自然でも繋がっていた手を、振り払ったのは……
修一、お前なのに。
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