後悔

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どんよりとした雲。 ここ2、3日の空は不機嫌だ。 むっつりと黙り込み、昼夜なくしくしくと雨を零す。 つい3日前までは脳天気に晴れ渡っていただけに、この妙に湿った天気は応える。 5月。 GWが明けたばかりの気怠い体。 頭では、今日から大学に向かわねばならないことがわかっていながら、休息に馴れた体は思うようには動かない。 最寄の改札に、見慣れた横顔を見つける。 180cm半ば。 恵まれた体躯に広い肩幅。 浅黒い肌に鋭く色を挿す漆黒の不遜な瞳。 同色の短く固い髪。 意志の強さを思わせるしっかりとした眉から、美しいラインを描く鼻梁。 肉食獣を思わせる顎と不機嫌そうに歪めた唇。 戸塚 修一。 俺の、小学生からの幼なじみだ。 不機嫌な瞳が、俺の姿を認めて優しく細められる。 「…雨だな、」 「痛むのか?」 「たいして。」 修一は俺の頭を軽く叩くと、独特の笑い方をした。 短く、空気を揺らすだけのような、声の混じらないフッという。 「…いつまでもこだわるヤツだな、」 肩を並べて歩き出すと、いつもの修一の少し右足を引きずる足音。 あの事件で、修一は右足の腱に傷を負った。 そして、いつまでも修一から右足の自由を奪っている。
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