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* * *
紅のクラスは1-Dだ。
教室に入ってしばらくすると、紅は早速女子から声をかけられていた。
「ウザイ奴ら……。少しは静かに喋れねーのかよ」
紅がぶつぶつと不機嫌そうに呟いていると、先生が入ってきてHRが始まった。
しかし、こそこそと小さいが時折耳に入る女子の声が、紅の機嫌をどんどん急降下させていった。
「紅君カッコイイよね。マジであたしタイプなんだけど」
「あの不思議オーラ好きかも。…彼女とかいんのかなぁ……?」
不思議オーラってなんだよ、みたいな表情で黙った紅は、女子たちを華麗に無視して、さっさと学校を出ようとした時、紅は運命的な出会いをしてしまった。
「あの人誰だろ。多分先輩だろうなぁ」
運命とはこのことを言うのではないだろうか、と傍からの第三者が思うほどの勢いで、紅は恋に落ちた。
それは、お手本のような一目惚れだった。
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