イジメ

3/7
前へ
/29ページ
次へ
  先輩たちが苺を殴り始めてから数分経過した。 コツコツと誰かが歩いてくる音が、階段に通じる扉の奥から聞こえてくる。 「ヤバッ!センコーか!?」 「(チッ。こんなときに…) 今度あの2人に近づいたらタダじゃおかないから」 先輩たちはそう苺に告げ、慌てて屋上から出て行った。 残された苺は、傷ついた体を引きずり、保健室に向かおうと、屋上の扉を開けた。 するとそこには―――― 捺がいた。 「……捺…」 「苺!?どうしたんだその傷!!」 「えっと……階段からこけちゃって…」 いじめられてるなんて言えない……。 苺は咄嗟に嘘をついた。 「それは転んだ傷じゃないだろ!?」 「ほっ…本当に大丈夫だから!!」 苺はそう言うと、捺の横を通り、階段を降りて行った。 ヨロヨロと階段を降りていると、後ろから捺が走ってきた。 「やっぱり無理だって!送ってくよ?」 「ううん。大丈夫」 本当は、とても歩ける状態じゃなかった。 だけど、捺と一緒にはいられない… 私のせいで、捺や紅を巻き込みたくない―――――。 苺はそう思い、急いで階段を降りて行った。      
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加