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先輩たちが苺を殴り始めてから数分経過した。
コツコツと誰かが歩いてくる音が、階段に通じる扉の奥から聞こえてくる。
「ヤバッ!センコーか!?」
「(チッ。こんなときに…)
今度あの2人に近づいたらタダじゃおかないから」
先輩たちはそう苺に告げ、慌てて屋上から出て行った。
残された苺は、傷ついた体を引きずり、保健室に向かおうと、屋上の扉を開けた。
するとそこには――――
捺がいた。
「……捺…」
「苺!?どうしたんだその傷!!」
「えっと……階段からこけちゃって…」
いじめられてるなんて言えない……。
苺は咄嗟に嘘をついた。
「それは転んだ傷じゃないだろ!?」
「ほっ…本当に大丈夫だから!!」
苺はそう言うと、捺の横を通り、階段を降りて行った。
ヨロヨロと階段を降りていると、後ろから捺が走ってきた。
「やっぱり無理だって!送ってくよ?」
「ううん。大丈夫」
本当は、とても歩ける状態じゃなかった。
だけど、捺と一緒にはいられない…
私のせいで、捺や紅を巻き込みたくない―――――。
苺はそう思い、急いで階段を降りて行った。
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