P/Change-The-World

9/20
前へ
/38ページ
次へ
次の朝。 沙希の次の衝撃は、少し早めにやってきた。 いつもより早めのホームルーム。 「えっ……」 叫び出しそうになった口元を押さえ、沙希は我が目を疑った。 それは少し小さめの身長で、真珠のような白い肌。 顔を見られたくないのか、少し下を向き、やがてゆっくりと瞳を上げた。 「今日からこの学校の世話になる、蒼井静火です。よろしく……」 ……まさか。 「……なんで、あんたが…」 沙希の言葉は誰にも届かずに、クラスの歓声で掻き消された。 「か、か、かわいー!」 「というか美少年!?」 うそうそ!やばい~、と女子は盛大に盛り上がり…… 「……すげぇ」 「どんな食い物食ったらああなれるんだ?」 うーむ……と、男子はため息しか出ない。 壇上の静火は昨日よりも美しかった。 目線は床に落ちていて、頬を真っ赤に染めていた。 決して照れているのではない。 自分を恥じているのだ。 「皆さん!新しい仲間と仲良くやっていきましょう!」 やはり担任の母性本能をくすぐったようだった。 片腕で寄せ付け、ずっと手を離さない。 クラス中から批判の声を浴びて、この日のホームルームは幕を閉じたのであった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

80人が本棚に入れています
本棚に追加