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次の朝。
沙希の次の衝撃は、少し早めにやってきた。
いつもより早めのホームルーム。
「えっ……」
叫び出しそうになった口元を押さえ、沙希は我が目を疑った。
それは少し小さめの身長で、真珠のような白い肌。
顔を見られたくないのか、少し下を向き、やがてゆっくりと瞳を上げた。
「今日からこの学校の世話になる、蒼井静火です。よろしく……」
……まさか。
「……なんで、あんたが…」
沙希の言葉は誰にも届かずに、クラスの歓声で掻き消された。
「か、か、かわいー!」
「というか美少年!?」
うそうそ!やばい~、と女子は盛大に盛り上がり……
「……すげぇ」
「どんな食い物食ったらああなれるんだ?」
うーむ……と、男子はため息しか出ない。
壇上の静火は昨日よりも美しかった。
目線は床に落ちていて、頬を真っ赤に染めていた。
決して照れているのではない。
自分を恥じているのだ。
「皆さん!新しい仲間と仲良くやっていきましょう!」
やはり担任の母性本能をくすぐったようだった。
片腕で寄せ付け、ずっと手を離さない。
クラス中から批判の声を浴びて、この日のホームルームは幕を閉じたのであった。
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