80人が本棚に入れています
本棚に追加
「蒼井くんって、ケータイ持ってる?」
「……持ってるけど」
「アドレス教えて~!」
「ヤダ」
「「も~、ケチ~!」」
窓際の席で静火は、楽しげに盛り上がる女子の輪に囲まれていた。
女子と話すのは苦手なんだよ……
そんな事を思っていると、不意に沙希と目が合った。
静火は「おまっ…」と口を開き、そのまま目をそらしてしまった。
沙希は「今頃か…」と呟くと
「昨日の…」
「……っ」
厄介なことになりそうだ……
そう思い、顔をさらに背けてしまった。
まるで嫌なものでも見てしまったかのように。
「沙希、蒼井くんと知り合いなの!?」
「知り合い……というか、昨日制服を取りに行ったとき、不良に絡まれて……偶然助けてくれたんだけど……」
「え~、強いんだ!蒼井くんって!」
「助けられてみたいな~!」
余計なことを…
静火はそう思うのだった。
最初のコメントを投稿しよう!