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空は澄み渡っていて、千切れ飛ぶ雲は眩しいくらいに薄く……
太陽の光は、例年より暑い季節を早い事教えてくれる。
もうすぐ、始業式か。
きっと、いいクラスになる。
そして、仲間たちと一緒に、楽しい時間を過ごしていくんだ。
そんな事を思って快晴の空を見つめた。
…ようやく学校の始業式が終わり、HRが始まる。
噂の転校生が来ると言う話だ。
みんな楽しみで心待ちにしていたに違いない
だが、担任に電話があり、急な用事が入ったため、お流れになってしまった。
…ちぇ。…楽しみにしてたのにな。
そんな顔をして桜井沙希は小さくため息をついた。
仕方がない。
新学期への準備があるし…早めに帰ってさっさと済ませてしまおう。
荷物を片付け、沙希は友達と共に帰路についた。
もうじき私の寮が見えてくる…、というところで、普段と違う様子に気付く。
寮の前にトラックが止まっていた。
荷台に荷はなかったが、ロープやビニールなどが散らかっていて、何かを運んできたことはすぐにわかる。
玄関の方から、若い男性の声で、
『それでは失礼いたしますー!』
と聞こえてきた。
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