80人が本棚に入れています
本棚に追加
どこか、ファーストフード店みたいなところがあればいいのだが。
周りを探すと喫茶店が目に入った。
窓がカーテンによって閉めきられていたので、中がうかがえないのがちょっと不安だ。
「制服が届くまでの時間だし……」
沙希はちょっぴり躊躇した後、店のガラス戸に手をかけた。
店内はタバコやお酒臭かった。
やっぱり止めればよかったと一瞬後悔する
店内には、珈琲や煙草を楽しむサロンというイメージはなく、柄の悪いゴロツキの溜まり場といった感じだった。
何よりも、一番奥のシートから聞こえてくる男二人の笑い声がとても不快だった。
注文したミルクティーを飲み干したらすぐに店を後にしよう。
そう沙希は思うのだった。
カランカランという、来客を知らせる音が聞こえてくる。
沙希はプランターの陰から客をうかがう。
客は一人。
……驚いたことに沙希の通う学園の生徒で同い年。
青い学園のコートが非常に似合っていた。
少し長髪で整った顔立ち
だが、表情は重苦しく、苛立っていることがすぐに読み取れる。
マスターが対応しようとすると、彼はそれを無視してゴロツキの目の前、沙希の隣のシートに座った。
最初のコメントを投稿しよう!