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「ありがとな」
「あ、ううんっ。私も楽しめたし。ありがとっ」
「あ、それで俺さ…実は…」
「?……あ…」
伊雄の隙間から、見たくない光景が見えた。先生と若い女。
いつもの顔でもなく、桜にも見せた事のない、優しそうな笑顔。
その笑顔の先には、お似合いの綺麗な女の人。
「………っ、せんせ…い」
先生は桜に気付く事もなく、女とショップに入って行った。
その場に居る事が辛くなり、思わず反対方向に走りだしてしまった。
「えっ、桜!?」
後ろから伊雄が追ってくる。
「どーしたんだよっ」
「…せんせ…いが…、」
言葉にすると、涙が止まらなくなる。
「え?先生?」
いきなり出た先生という言葉にびっくりしながらも伊雄は近くの自販機でジュースを買ってきた。
「ほら、オレンジ飲んで、落ち着け?」
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