第1章

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愛してるなんて 言葉に出さなくても 伝わってくる。 言葉なんて いらない愛なんだ。 しばらく話していると 電話の向こう側で 「勇ちゃーん。」 と可愛い声が聞こえた。 「なぎさちゃん?」 あたしはそう聞く。 なぎさちゃんは 勇也の妹で まだ4才。 年は離れているけれど 仲の良い兄妹。 「…うん。ごめん。 9時ピッタリに 迎えに行くから。」 急ぎ気味の優しいお兄ちゃん。 そんな姿さえ愛しいから 電話を切ることに ためらいなんてない。 「分かった。 待ってるね。ばいばい。」 プチッ ツーツー 電話がきれたのを確かめて あたしも電話をきる。 「あーあ。 はやく9時にならないかな。」 楽しみでしょうがない。 一緒にお参りして おみくじ引いて…。 そんな考え事をしているうちに あたしは眠りについていた。 _
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