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勇也Side
「…勇ちゃーん。」
なぎさの声がする。
「うるさい。」
そう言い
布団を深くかぶる。
「勇ちゃーん!!」
なぎさの声は高いし響く。
「…ったく、なんだよ!!」
しょうがなく起きる。
するとそこには
時計を指さすなぎさの姿。
「は?」
俺はためらわず時計を見た。
「…やばっ!寝過ごした!!」
時刻は
8時55分。
ここから急いでも
晴香の家までは
10分…。
…間に合わない。
急ぎだした俺を見て
得意げに笑うなぎさ。
「はい、はい。
ありがとね」
俺はそう言って
なぎさの頭を
くしゃくしゃ
とする。
するとなぎさは
部屋から
嬉しそうに出ていった。
プルルルル
とにかく
電話をかけることにした。
「もしもし?」
晴香の声。
「あのさ、ごめん。
…間に合わない」
服を選びながら話す。
「勇也が遅刻?
めずらしいね。」
「なぎさにあれから
振り回されて…」
服を決めて着替え始める。
「なぎさ
なかなか寝ないし…」
晴香は
「うん、うん」
と、ただただ話を聞く。
「…って、言い訳になる?」
「えっ?」
急な質問に戸惑う晴香。
そんな姿も
やっぱり愛しい。
「まあ、いいや。
急いでそっち向かうから」
「うん、待ってるね」
「じゃあ、また後で」
俺はそう言うと
電話をきった。
新年早々、遅刻って
なんか嫌な感じ。
そんなことを思いながら
支度をし、家を出た。
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