第1章

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晴香Side 「だって…さ」 髪の毛もぐちゃぐちゃで 息がきれるくらい 走って来てくれる姿に 愛しいと感じる。 「…また、言い訳?」 あたしは 少し笑いながらそう言う。 あなたの変化に これっぽっちも 気付くことすらなく…。 「え?」 勇也は顔をあげて 「何が?」 とでも言いたそうな 顔をしている。 「なんでもないっ」 あたしはまた 少し笑ってみせた。 心の中では どれほどにあなたを 「愛してる」 と思っても 言葉にはなかなかできない。 たとえ言葉にしても 恥ずかしくて それに 「愛」なんて言葉に 幸せを感じていても 終わりを意識することは きっとなくて 当たり前とさえ 心のどこかでは 思っているのかもしれない。 言葉で伝える愛と なんとなく 伝わってくる愛とでは 大きさが きっと違っていて 確かなものかどうかの差も 大きいんだろうね。 色がある世界。 音がある世界。 言葉にすることも なんなくできる世界。 そんな世界を きっときっと 当たり前だなんて思っていたから こんなことになったのかな…? _
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