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数分後、由香が花瓶に花を生け病室へと戻って来た。
「あらっ?秋岡さんとお友達の刑事さんはもう帰っちゃったの?」
そう言いながら、花瓶をテーブルの上に置く。
「…あ、あぁ。何だか用事があるらしくて帰ったよ。」
緊張しながらも、そう答える俺。
心臓の音が、由香に聞こえてしまうのではないかと思う程ドキドキしている。
俺は、ゴクリと生唾を呑むと
「…由香、ちょっと聞いて欲しい事があるんだ。」
と切り出す。
「ん?なぁに?」
何も気付いていない由香は、俺のベット脇へと寄って来た。
俺は、由香の顔を真剣に見つめると
「今回の事件で、わかった事があるんだ。」
と言った。
そんな俺を不思議そうに見つめる由香。
俺は更に言葉を続けた。
「俺にとって、由香はとても大事な人だって事がハッキリわかった。俺は由香がずっと昔から好きだった。由香に告白して、今の関係を壊す位ならずっと言わないでおこうとも考えたんだ。でも、そんなのは汚いよね?だから、ちゃんと言うよ。由香、俺と結婚を前提に付き合って欲しい。一生俺が由香を守って行くから。」
そう言った瞬間、由香の大きな目が見開かれ、その瞳から大粒の涙が溢れ出た。
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