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ポロポロと大粒の涙を溢し続ける由香。
俺はどうしていいのかわからずに、オロオロとしていた。
そんな時、由香がゆっくりと口を開く。
「…ずっと…ずっとその言葉を待っていたの。」
そして、自分のバックからハンカチを取り出すと涙を拭きこう続けた。
「昔、私が親の都合で転校しなきゃいけなくなった時、約束したよね?大きくなったら私を佑ちゃんのお嫁さんにしてくれるって。私、ずっと覚えてた。絶対に佑ちゃんのお嫁さんになるんだって心に決めてた。だけど、佑ちゃんはなかなか言ってくれなくて…。もう忘れられてるのか、幼い頃の他愛無い約束位しか思われてないって思ってた。」と言うとニッコリと微笑んだ。
あぁ、そうだった。
あの時に由香と交わした約束。
お互いに泣きながらした指切り。
あの時の約束は、由香を俺のお嫁さんにする事だったんだ。
黙って由香の話を聞いている俺に、由香は
「私で良ければ、佑ちゃんのお嫁さんにしてください。一生私の傍に居てね!」
と言うと、スッと右手を差し出した。
俺は思わずその右手を引っ張り、強引に由香を抱き締める。
そして由香に
「絶対に幸せにするよ…」と言い、おでこに優しくキスをした。
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