本当の恐怖

5/12
前へ
/225ページ
次へ
すると、秋岡はニヤニヤしながら 「へぇ~!そうか~!しかし、由香ちゃんもお前の何処に惚れたんだろうね?もしかして由香ちゃん目が悪いのか?なんなら俺が良い眼科を…」 そんな事をほざいている秋岡の顔面めがけ、俺は枕を投げ付けてやった。 それからの毎日は、俺にとってとても幸せだった。 毎日献身的に病院に通い、身の回りの事をしてくれる由香。 それに応える様に、俺はリハビリを頑張った。 その頑張りは、主治医も目を見張る程だった。 そして2ヵ月後… 俺はようやく退院する迄に漕ぎ付けた。 退院前日、久徳刑事が見舞いに来て、由紀の様子を語ってくれた。 どうやら、今だに現実と夢の狭間を行ったり来たりしている様だが、時間をかければ普通の生活に戻る事も可能らしい。 それを聞いた俺は、自分の今の気持ちを素直に久徳に話した。 「…いつか…彼女を見舞っても構いませんか?」 その問いに、久徳は少し困った顔をしながら 「…安藤さんのお気持ちはわかりますが…お止しになった方が…」 と止められた。 俺は少しガッカリしながら 「…そうですよね。」 と答えたのだった。 そんな残念そうな俺を見て、久徳がこんな事を言った。
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10178人が本棚に入れています
本棚に追加