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「今すぐは無理だと思いますが、いつか…彼女の姿を遠くから見る事位は可能かもしれません。」
そう言いながら、久徳はニッコリと笑った。
俺は、その笑顔にゆっくりと頷き
「…わかりました。いつか…いつか必ず彼女の様子見に行きます。」
と答えた。
本当はちゃんとお見舞いに行ってやりたいが、由紀が俺を見たらどうなるかわからない。
もしかしたら、彼女の病を悪化させかねない。
それを考えると、やはり遠くから見守るしかないと思った。
可哀相な由紀。
願わくば普通の暮らしが出来る程、回復すれば良い。
そして、次の日。
俺は、家族や由香、由香の母に囲まれ無事退院をした。
久々に会う由香の母に、何を言って良いかわからなかったが、由香の母に泣きながら
「…由香を助けてくれてありがとう。佑介くん…これからも由香の事、お願いね?」
と手を取り、頼まれた。
顔を真っ赤にしながら俯く由香。
俺は笑顔で
「はい!必ず幸せにします!」
とちょっと気の早い返事をした。
その様子を見た弟が
「佑にぃ…マジ気が早すぎ…」
とボソリと言ったものだから、周りは爆笑の渦となった。
それはとても幸せな場面だった。
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