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だが、なかなか由香がやって来ない。
(もしかして…)
姫はキャリーに入るのが大嫌いなので、由香が手こずってるのでは?
そう考えた俺は、玄関から中に居る由香に
「大丈夫か~?中に上がって良いなら、俺が姫をキャリーに入れるけど?」
と声を掛けた。
すると、由香はすぐに慌てた様な声で
「だ、大丈夫!姫とミルク大人しくキャリーに入ったから!」
と声がして、キャリーと共に玄関に戻って来た。
「はい!お待たせ!」
由香が持って来たキャリーの中には不機嫌そうにした姫と、少し大きくなったミルクが居た。
「姫!ミルク!久しぶりだなぁ!」
俺は満面の笑顔で由香からキャリーを受け取る。
姫は俺の声を聞くと、早くここから出してくれと言わんばかりに、ニャーンニャーンと鳴きだした。
そんな鳴き声を愛おしく思いながら、由香に
「長い間、面倒見てくれてありがとな!」
と礼を言う。
そんな俺を見て、由香は
「ううん!姫とミルクはとっても良い仔だったから、お世話するのも楽だったわよ?」
と笑った。
そんな会話の中、俺は少しだけ由香に意地悪を言う。
「でもさぁ…何で俺が由香の部屋に入っちゃ駄目なの?」
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