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秋岡は真紀と同じ中学だったのだ。
勿論、真紀はそれを知らない。
学年も秋岡の方が上だった為、知らないのも当然であった。
「…でも、一番役に立ったのは…あの女よね。」
そう言いながら、壁や窓に貼ってある佑介の写真を、一枚一枚丁寧に剥がして行く。
由香の指しているあの女とは、由紀の事である。
「最初、お義兄ちゃんから聞いた時は凄く頭に来たけど、あの女のお陰で私は“変な女に狙われる可哀相な子”を演じられたわ。」
と言いながら、またクスッと笑う由香。
そう、由香は確かにあの日、由紀に会っていた。
会って、上から下までジロジロと見られ暴言を吐かれたまでは事実であった。
しかし、由紀が由香に宛てて書いたとされる脅迫状…あれは由香の自作自演であった。
しかも、佑介の家のポストに入っていた手紙も由香が書いた物だった。
つまり、由紀が佑介に書いた手紙は、朝の差し入れのお弁当に入っていた手紙…あれだけだったのだ。
「お義兄ちゃんが手紙の事教えてくれなかったら、こんな計画思いつかなかったけどね?」
そう言いながら、由香は剥がした佑介の写真をごみ箱へと捨てた。
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