十七歳

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未練はないと見込んだ 女一人東京駅 もう疲れたの 生きてる意味がないから ずっと幸せな毎日 続くと思ってた あたしの身体の中には 貴方と良く似たこの子が居て 嬉しくて嬉しくて だけどもわからないからの 涙が止まらなかった 貴方には不幸だったのですか 貴方には迷惑だったのですか だからあたしの事を捨てて 何も言わずに消えてゆくのでしょ 壁に掛かった花嫁衣装と あの人を憎んだ十七の春 最初にみた後ろ姿が今でも目に焼き付いて離れない 愛する事に疲れたぁって 言葉も交わさず逃げたじゃない 鼻血がどんな思いをして 貴方を待ち続けたかわかる? 痛みがまた込み上げて 叫んでみても何も変わらず 貴方の鍵を引きずったまま やがてうまれて来るこの子には 辛い思いさせたくないの ごめんね あたしは母として優しく抱き上げることすら 思い出に巻いた十七の春 あの日々は無用と帰れないのに どこか心の奥の方が手を延ばしてるあたしがいた 貴方には不幸だったのですか 貴方には迷惑だったのですか だからあたしの事を捨てて 何も言わずに消えてゆくのでしょ 壁に掛かった花嫁衣装もずっと (貴方は今頃どこにいますか? 身体は壊していませんか? 楽しい生活を送っていますか? もう昔のうち等) まだ見ぬこの子の泣き声と春を待つ
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