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しばらく部屋に沈黙が流れた…
そして下を向きながら龍魔が口を開いて放った言葉が
龍魔『……帰りてぇ』
その脱落した一言により水月は崩れ落ちた。
龍魔は女の子を泣かせてしまった…と思ってはいたが、既に龍魔にとってそんな事はどうでもいい事だった。
神谷はそんな脱落した龍魔を見て…
神谷『……ふっ』
と笑った。
神谷は呆れた訳では無い…
嘲笑うかのような笑いでも無い…
見下した訳ですら…無い。
神谷『初めての敗北感に潰されましたか若?』
龍魔はピクっと動いたが下を向いたままだった。
神谷『周りの人達が強く……嫌気が指しましたか?若』
龍魔『………ちが』
神谷『心が折れたか?龍魔…』
神谷に若ではなく龍魔と呼ばれて顔を上げた龍魔…
龍魔『俺は』
神谷はさらに台詞を重ねた。
神谷『勝てないなら強くなれ…』
龍魔『!!』
龍魔は目を重いっきり開いた。
神谷『追いつかれたなら力を付ければいい』
いつもとは違う神谷の言葉を聞いて龍魔の手が拳を作った。
龍魔『俺はただ…』
神谷『その拳を誰に向ける?何の為に向ける?』
龍魔『俺はただ…』龍魔は続ける
龍魔『…俺は負けたくねぇんだ。どんな奴にも!!勝って、勝って勝って勝って勝ち進んでいきてぇんだ!!!!』
神谷は龍魔に近づいていき
そして龍魔を撫でながら言った。
水月『……あ…』
神谷『だったらそこに、何か理由がいりますかね?若。』
ドクンッ
龍魔は心が跳ね上がった用な気がした。
水月は龍魔の空気が変わったのを感じた。
神谷は龍魔が決意したのがわかった。
龍魔『……ぬぅ、ぁぁああぁあ!!!』
ドスッ
龍魔は拳を自分の顔に振りかざし殴った。
何回も…何回も
水月『わ、若様止めて下さい!!』
神谷『止めるな水月……若のケジメだ』
龍魔は口から血が出て来ても止めなかった。
しばらくして龍魔は神谷に
龍魔『一発頼む』
とだけ言った。
すると神谷は
神谷『私の一撃はデカイですよ?』
と言って龍魔を殴り飛ばした。
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