今まで通りの七月七日

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洗面所で顔を洗い、僅かに残った睡魔を綺麗さっぱりと追い払う。 フェイスタオルで顔を拭きながらリビングに向かえば、なんともまぁ…つまりは何とも言えない顔をした我が妹、恵がそこに居た。 1人で座るには少々大きめなソファを堂々と横になって占領し、綺麗に首だけを此方に向けている。 首だけが見える今の姿は若干…というより相当気持ち悪いが、問題はその表情だ。 「…なんだ?」 呆れたような、汚物を見るような。 実の兄である俺からすれば、家族に向けるような表情とは心底、到底、微塵も思えない。 そんな視線を可能にする我が妹、恵の将来が心配である。
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