あやこの気持ち

5/10
前へ
/40ページ
次へ
また、あくる日のこと。 放課後、教室の掃除当番に当たっている日のことだった。 クラスでいつも馬鹿騒ぎをして先生に怒られてる、岡野が話しかけてきた。 「戸塚って、頭いいの?俺、算数得意なんだぜ!明日の算数で、どっちが先に正解するか、勝負しね~?負けたら罰ゲーム!!!」 岡野は、すごく早口で、とんちんかんなことを言う。 だって、話すのはこれが初めてなのに、いきなり勝負だなんて。いきなり罰ゲームだなんて。 あやこが受け答えに困って、無言でいると、岡野は、 「お前、口ねぇの?」 と冷たく一言を放って、また男子の馬鹿騒ぎの輪に戻って言ってしまった。 だって、アンタが変なことをいきなり言うから。アンタが、岡野が悪いんじゃない。 あやこは、頭で何度もそう唱えて、ホウキを握る手が脱力していくのを感じていた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加