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次の日も、その次の日も、あやこはその場所に寄り道した。
お姉ちゃんには、友達の家に居たんだ、と嘘をついた。
なんとなく胸がチクリと痛んだが、悪いことをしているような気持ちにはならなかった。
ちかちゃんも、みっちゃんもここには来ないが、あやこはあの日以来泣かなかった。
コンクリートの消えかかった絵は、自分ひとりでまた描き直していた。
今日もまた陽が暮れてきて、そろそろ家に帰ろうと、そこを抜け出した、その時。
ひとりの男の子が、青い自転車で目の前を通り過ぎようとしたが、あやこと目が合って、急ブレーキをかけた。
それは、あやこに冷たい一言を浴びせた、岡野だった。
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