そして無力を知って

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キャッチボールが終わって、次は軽いノックの時間だ。 本格的なノックは監督が来てからだが、それまではキャプテンがノックを打つ。 …ただし、あくまで軽いノック…のはずなんだけど、 カキーン!! ビュオゥッ!!! …… 俺の顔の横をそれはもう、あまりに鋭いライナーが突き抜けた。 (あれ?) 周りからは、オラオラ~!とか、何やってんだ~!とか、いつもの野次が聞こえる。 「もう一球いくぞ~」 (きっと、偶然だろ) 「おっしゃ、来~い!」 と、もう一度グラブを構えた刹那。 カキーン!!! ッヒュゥーン!!! 打撃練習でも出ないぐらいのナイスな打球が頬をかすめて行く。 どうやら打球は野球部グラウンド後ろのサッカー部まで届いたらしく、「ぐはぁ!?」と言う声が聞こえたような気もしないが、俺には関係無い。
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