はじまり

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私が真っ直ぐに家に帰りたくない理由―― それは寂しいから。 誰も居ない家。 真っ暗な家。 一人は嫌いなの。 一人は嫌いなのに。 どうして私は一人なんだろう…… そんな嫌な思いも今は忘れられる。 もし、このメロディが、ゆっくりなバラードなら、私は泣いていただろう。 自分の生きる環境に。 涙を流しただろう。 でも、このメロディや、この人の踊る姿を見てるだけで 何もかも忘れられる。 楽しい気持ちになれる。 そんな私に声が落ちてくる。 「ねぇ、」 さっきと同じ呼び掛け。 あ、そうか。 この人も私もお互いの名前知らないんだ。 .
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