第四話

16/43
前へ
/417ページ
次へ
そして俺は何も反論出来ず、死刑台を登る死刑囚のような面持ちで無言でハーレーに跨るのだった 「あの……ヘルメットは……」 「レディースしかねえ」 確かにな 男二人でハーレーに跨るなんて、俺だってゴメンだ 「飛ばすからしっかり掴まってろよ」 「は、はい」 俺が腰に腕を回すか回さないか、微妙なところでバイクはマフラーを震わせてロケットスタートを切った 「のわっ!?」 「落ちても知らねーぞ!」 危うく振り落とされ所だった ハーレーの二人乗りというのは、運転手が後ろに傾いているから後部座席のほうも自然に傾いた姿勢になる奇妙なものだ ロケットスタートの速度そのまま、いやどんどんと加速していくのが肌を切る風でさえ感じとれる 俺にはハーレーが三途の川を渡る船とさえ思えた なんとか目を開けて周囲を見ると、一般道を外れてそのまま高速道路に入ったようだ
/417ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2018人が本棚に入れています
本棚に追加