第四話

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ハーレーはスイスイと、まるでボリウッドの安っぽい映画のようにフィクションだろと言いたくなる、危険運転一歩手前のテクニックで高速道路を縦横無尽に走る いったいこの稲妻の男は何者なのだろうか まあ考えても無駄だとは分かるが、ある程度ハーレーのシートにも慣れてきたので妄想してみることにする 実はこれは何かの映画の撮影で、リアルを求めて止まない映画監督が何も知らないいたいけな一般人の俺を強制的にハーレーに乗せたのだという事 その仮説に基づいて考えると、付近の車からカメラが覗いているか、このハーレーに小型カメラが取り付けられているに違いない そうだ、そうに違いない 一縷の希望という名の思い込みを胸に抱きつつ、後ろを振り返る だが、このハーレー自体が先ほどから某マンガの自称健康優良不良少年と渡り合えるくらいのテクニックで走っている だから車は愚か、バイクですら追尾してくる車両はなかった そもそも、こんな激しく動いて撮影なんかあったものだろうか 認めたくはないが、これはどうやら紛れもないノンフィクションノンストップアクションのようだ
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