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家に入ると、慌ただしく足音が階段を駆け下りてくる
そして下りてきた奴は、何様のつもりか、仁王立ちで俺の前に立ちふさがる
「おかえり弘くん!今日ね今日ね、入学式だったんだよ!」
「奇遇だな、俺もだ」
目の前で嬉嬉として、今日の結果報告をしてくれているのは、我が妹の鈴音だ
今日から中学一年生だから、テンションが高いのではない
雨にも関わらず、風にも関わらず
毎日だ
宮沢賢治か、とツッコミたい
だが、妹に懐かれるというのは、悪い気はしない
「あのねあのね、担任の先生ったらね……」
「話は晩飯の時聞いてやるから、家に入れてくれ」
「約束だよ!」
「ああ約束だ」
これまた嵐のように、お母さんを連呼しながら台所に飛び込んでいった
靴を脱いで、階段を上ってすぐ右手にある自室に入る
自室といっても、とても思春期の男子とは思えない簡素なもんだ
もちろん、アハーンな本も数冊、勝手に侵入してくる鈴音に見つからないように、様々なカモフラージュをほどこして、完璧に隠蔽している
もちろん、普通に漫画もあるぞ
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