第一話

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ぽーんとベッドに鞄を投げる そして自分もその横に転がる さて、何かするか せっかく早く帰ってきたんだ 何もしないわけにはいかない かといって金はない 困ったな…… キュルル…… その時、まさに待ってましたと言わんばかりに、俺の腹が情けない音をたてた そういえばまだ昼飯を食っていない 妹も下にいることだし、何か作ってくれるだろう 自慢じゃないが、鈴音の料理の腕はなかなかのもんだ 料理だけじゃなく家事全般、鈴音は専業主婦以上にこなせる 今すぐ嫁に出しても恥ずかしくはない 恥ずかしくはないが、兄としてはすぐホイホイとどこの馬とも知れぬ奴に、鈴音を任せる気はない って、俺は何を考えているんだオイ シスコンになった覚えはない さてさて、頭をガラッと切り替えて、ラフなルームウェアに着替える そのまま下に下りると、ちょうど母親と鈴音が、化粧なんかしておめかししていた ウチの母親は、毎日口紅を塗りたくって生活するセレブリティな習慣など、当然のごとく持ち合わせていない さっするに、女性二人でお出かけだろう
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