第一話

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店長に感謝しながら、小一時間ファンタジーマンガを読みあさった俺は、いつか金が貯まれば近所の書店で購読しようと決心しつつ、神堂がいるであろう雑誌コーナーに向かった なぜだ 俺の心境は上記の三文字に尽きるだろう 雑誌コーナーに行った俺は、神堂がいないことに気づいた 雑誌コーナーから、文庫本コーナー、店頭のオススメコーナーと、店内を歩き回ったが神堂はどこにもいなかった まさか俺を置いて帰ったのか、と子供のかくれんぼにありがちなことを思い浮かべていると、聞き慣れた声が俺の背中を叩いた 「あー、弘くん! なにしてるのー?」 我が妹、鈴音だ 母親とともに、両手に紙袋を三つ四つぶら下げている 両者とも、体力的にも運搬量的にも限界が近いのであろう 鈴音はやりきったぜ、みたいな疲弊感を漂わせていた 金欠で立ち読みしかしてない俺とは大違いだぜ
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