第一話

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今まで幾度となく思ったことだ 今更何を……と、馬鹿らしく思ったところで、俺は人間が睡眠を欲するとき、はたまた犬であれば落ち着かない時に出る本能的挙動…… つまり欠伸が出たわけだ そんな俺の欠伸を律儀にもカウントしてくれる奴もいるわけだ 捨てる神ありゃ拾う神ありってな 違うか 「17回目……、まったく、昨日の夜は早く寝たのか?」 「寝た」 「何時?」 「一時半」 「遅すぎ…… もう高校生だから、別に十時に寝ろとは言わないけど、せめて日付が変わる前に寝なよ」 「俺の好きなバラエティーは十二時半からなんだ」 「それは録画するとかして……」 なんて入学式でうだうだ雑談してると、当然教師の目に止まるわけで、俺らの担任になるとかいう…… 名前なんだっけかな まあいいや、その中年の禿頭教師の鋭くはないが、教師という肩書きを搭載した視線が飛んでくるわけだ 隣のイケメンクンは小さく頭を下げて壇上に向き直る 俺はそんな大人な態度をとれるはずもなく、無視して視線を体育館の二階の窓の向こうへとそらした
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