第一話

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窓の向こうには、入学式開始直後には見えなかった太陽がサンサンと、地上に日光を照射していた どれだけ校長の話が長いかを実証してくれる証人だ いや証星か まあなんでもいい どちらにせよ、校長の話は長々と続くわけだ 入学式を妨害する勇気も、力もない俺にとってはどうしようもない災害だ 再び、壇上に目を向けると、生徒会長と思しき男子生徒が、校長とすり替わりマイクを握っていた 眼鏡をかけた、如何にもな雰囲気を纏っている その生徒会長も、来年、再来年あたりには隣のイケメンクンに替わっていることだろう それは自然の摂理なるものだ 人の上に立つべき人間は、やはり最初から人の上に立つべく生まれてくる 努力で……とか、頑張れば……とかなんて言葉は、所詮気休めだと俺は思う もちろん、勉強すれば成績は上がるし、毎日走り込めば体力もついて足も早くなる でもそんなのは上辺だけ 結局、人間に一番大切なもの、根底にあるものだけは、努力や頑張りではどーにもいかんわけだ とか、どこぞの哲学者のようなことを考えているうちに、メガネの男子生徒は壇上から消えていた
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