第一話

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中学一年生 それはそれは凄まじい学年だったよ 神堂は入学式の翌日から休み時間ごとに呼び出され、告白を受けていた だが、神堂はどんな可愛い女子でも、決して付き合うことはなかった 本人曰わく、どうもピンとこないだそうだ モテ男の余裕かこのヤロー、って当時は思っていたが、しばらくして考えると、神堂はだれよりも恋愛に大人だったんじゃないかと思った 遊びで付き合うのは、結局相手を傷つける結果に至ると知っていたんだろう まあ、そんな日がひと月と続くと、流石の神堂でも度重なる告白を断ることにストレスを感じ始めたのだろうか、目に見えて疲れていると分かってきたんだ だが、いつの頃だったか、告白を受ける回数が少なくなっていき、夏休みが明けたときには、ひと月に二、三回程度になっていた それでも十分なんだが つまるところ、神堂病とは一年生の夏休みが始まるまでに、女子連中が神堂をシバき倒す(言い方は悪いが実際そんなもんだ)現象のことなのだ ちなみに、俺と神堂が友人という関係に至ったのも、神堂病が収まった二学期だった
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