第一話

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「誰かピンとくる女子はいたか」 となりで靴を履き替える神堂に尋ねる。 まったく関係ないが、この革靴とやらは重いし足がやたら疲れる 世界のサラリーマンは、こんな物を履いて出勤していると考えると、俺の中でサラリーマン株がグッと上がった 「いたか……と言われれば」 「言われれば?」 「雪村さん、かな」 「え、雪村楓!?」 予想外か、と聞かれればそうでもない 雪村の雰囲気は確かに少し独特だった。 上手くいえないが……こう、どーでもいいかみたいな 「あ……うん、そうだけど…… 気になったっていうか、なんだか危なっかしいんだ」 「危なっかしい?」 それはまた、気になるというか、ほっとけないに近いか だが、恋愛というものは、男性が女性に対して、ほっとけない、守ってやりたいとかいう保護感情から始まる場合が多いと、何かの雑誌の記事で読んだ記憶がある つまるところ、これが神堂の恋愛が始まる瞬間なのやもしれない
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