第四話

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さて、チャラ男が故にクラスから敬遠されていた長谷川は、昼休みの一件以降はそれなりにクラスに溶け込めたような気がする 放課後、長谷川が沈痛な面持ちでコチラにやってきた 付き合いはまだ二日だが、それが長谷川らしからぬ表情であるというのは即刻理解することが出来た 「なあ弘人」 お前も弘人と呼ぶのか まあいい 「噂流れてっけどそれマジ?」 「噂?まさか……」 どうせ、女子が勝手に流しているしょーもない噂だろう 俺が神堂を盾にしてるとかどうとか 「いや、それじゃねえよ そっちの噂はもう俺がおめーと直接絡んで、デマもいいとこだって分かってっから」 長谷川の何気ない一言が、俺にとっては凄くありがたかった 誤解が解けるというのは、相手が健康オタクのチャラ男でも嬉しいものだ そしてその長谷川は、それはいいとしてと言って噂について話始めた 「噂ってのは、雪村楓についてなんだが……」 俺は出てきた予想外の固有名詞に鞄に教科書を詰める単調作業を中断し、思わず長谷川の顔をまじまじと見てしまった
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