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馬車がなくなって商売ができないとしてもザードは諦めないだろう。
商人というのは大概諦めが悪い。
ザードも商人を名乗っているし騙されたまま引き下がることはできない。
ただ、傭兵を殺して商館の店主に詰め寄るという方法しか残されていない。
商館の店主は別の商人と手を組んでいる。
つまり、仲間が居ない時点でザードは手詰まりとなる。
そのうちザードはふらふらと洞窟を見つめ、氷の存在に気付いた。
怪しい氷の存在に。
「なんで、氷があるんだ?」
いくら洞窟内が寒いとはいえ、氷ができるというのはおかしい。
そこまで寒かったら洞窟内のあちこちに氷柱があったりするはずだ。
もしかしたら少女が何か知ってるかもしれない。
「この氷はどうやってできてるか知ってますか?」
「はい、私が作ってますから」
ザードはにこやかに質問したまま、洞窟の氷と同じように凍った。
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