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相手の声は明らかに少女の声。
こんな洞窟に少女が住んでいるとは考えられない。
しかし足音は近づいて来ている。
姿が見えてから正体がわかった。
「あなたはさっきの馬車」
馬車まで言って少女は転んだ。
「大丈夫ですか?」
手を差し出す。
しかし差し出された手を無視して立ち上がる。
「優しい人ですね、ありがとうございます」
愛想よく笑う少女はとても綺麗な顔立ちをしていた。
まるで空のような色をした瞳。
肩にかかるぐらいのしなやかな青髪。
見目15、6歳といったところであろう。
「私の名前はザードです。商売上ではザード・シフォンと名乗っています」
自分の名前を名乗り、少女を仰ぎ見る。
少女はにこりと笑う。
その後、少女といろいろな話をした。
「けっこうな時間話してましたね」
その言葉で思い出した。
「あ、用事を忘れてました。私、用事があるんで帰ります」
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