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「はい、さようなら」
少女はそう言ってザードを見送った。
ザードもその言葉を聞いて出口まで歩いた。
出口付近に人影が見えた。
男が4人といったところだろう。
人影の風貌は明らかに商人といった感じである。
「さっきの男はまだ出て来ねえか」
「いや、恐らく帰ったのだろう。俺らに気付いていたかもしれない」
「しかしカラサハの商館で氷の取引が行われているとはな」
「しかし儲け話としては最高だな。なにせ馬をわざわざくれるぐらいだからな」
「しかしクドフ金貨40枚の取引だからな。慎重にやらねえと」
ザードはこの会話を聞いていた。
ただ、冷静に聞いていた。
騙されたかもしれない事実を。
商人が居なくなってからザードはカラサハの商館まで走った。
カラサハの商館前には傭兵が1人。
もちろんザードに勝ち目はない。
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