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「それは使用料をすでに頂いているからでしょうか?」
ザードの言葉に店主は鼻で笑う。
「どこで気付いた?」
質問をしていて答えに興味をあまり示していない様子だ。
「ランプの貸出の時ですかね」
ザードを見下すように再び鼻で笑うと声を張り上げた。
「傭兵、何をしている。こいつは客ではない」
傭兵の襲撃により目が覚めた場所は洞窟の近くだった。
わざわざザードを引っ張って来たのだろう。
がばっ、と跳ね起きることなどできない。
おそらくは長い時間この姿勢で眠っていたに違いない。
動かすまでもなく、首が痛いのがわかる。
そしてゴツゴツした岩で背中が本当に痛い。
せめてもの救いといえばまるで女の子が膝枕をしているような感触。
「痛っつ……」
顔をあげると先ほど出会った少女の姿。
「すいません、助けるのが遅れてしまいました」
その柔らかい膝を感じながらザードはもう一度目を閉じた。
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