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仲間たちとの日々
それからも、ニンゲン達は度々やって来た。
よく見るとニンゲンには2種類いて、棒を投げつけてくるヤツと嬉しそうに見ているだけのヤツに分かれていた。
見ているだけのニンゲンは自分達を追いかけて来ないので、少年や仲間達にも簡単に見分けがついた。
危険なのは、棒を投げつけてくるヤツだけだった。
少し大きくなっていた少年は、かつてカアチャンやニイチャンに教わった方法で、上手に魚を捕る事が出来るようになっていた。
少年は、兄弟や群れの仲間達と一緒に歌い、狩りをし、そしてイワシやサンマ、タラなどをたらふく食べた。
その場所の魚達が少なくなると、群れは新しい餌場を求めて引っ越しをした。
ある時、少年は奇妙な事に気付いた。
かつてあれほど頻繁にやって来ていたニンゲンのハンター達が、しばらく前から全く姿を見せなくなっていたのだ。
ニンゲン達が全然いなくなった訳ではなく、現に少年は幾度となく彼らを目撃していた。
けれどもある時を境に、どういうわけか皆見物客に変わっていた。
―おかしいな。
少年は、仲間達に尋ねてみた。
―そういえば最近、アイツら襲ってこないよね?
―いいことじゃないか。
結局、仲間達は何も知らなかった。
けれどもニンゲン達のせいで両親を失った少年にとっては、彼らが襲って来なくなっただけで充分だった。
少年は、群れの仲間達と喜びを分かちあった。
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