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ある日、ネエチャンがやせ衰えた我が子を連れて、群れを出ていった。
少年は寂しくて仕方なかったが、群れの仲間達は餌の分け前が増えた事を単純に喜んでいた。
ネエチャンに続いて何頭もの母クジラが、子供を連れて続々と群れを出ていった。
こうして群れの数はかなり減少したが、餌となる魚の数はそれ以上に少なくなっていた。
少年には、少し前まであんなにたくさんいた魚達が一体何処へ行ってしまったのか全く見当もつかなかった。
―きっと、何処かに魚はいるはずだ。
少年は、固くそう信じていた。
もしかしたら仲間達は魚の居場所を知らないのかもしれない。
群れでいるよりも自分だけで探したほうが、魚は見つかるんじゃないだろうか・・・・。
群れと一緒にいてもほとんど餌にありつけなくなった少年は、次第にそう信じるようになっていった。
―大好きなタラを探しに行こう。
遂に、少年は群れを離れる決心をした。
少年は群れを離れた。仲間達はおろか、大好きなニイチャンでさえ止めなかった。
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