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「友美ちゃんのグッズのためにぃぃぃい!!」
奇妙な叫びとともにゴールに背を向けた光が空高く舞い上がる。
空中で態勢を整え、空中で逆上がりをするようにボールを蹴り飛ばした。
オーバーヘッドキック
キーパーはそのシュートに反応し飛び込むようにボールにダイブするがわずか数㎝とどかず……
バスッ!
ボールはゴールのネットにあたることでようやく停止した。
『きゃあああああっ!!!光君かっこうぃぃぃいい』
瞬間に爆発するギャラリーの女子達。
そんな女子達には一切目もくれず光は地面に着地するとこっちのコートに戻って来た。
「ナイスシュート光!」
「ふむ、やはり光がいると勝負にならないか……」
陽壱の称賛と亮のどこか確信に似た呟きに光は笑いながら返事を返す。
「っておいおい……。いくら正規のルールじゃないとは言えレギュラーメンバーの相手にたった2分ぐらいで先取点って」
改めて愕然とさせられた事実に小さく溜息を吐く。
レギュラーメンバー達に冥福を祈り、身体の前で俺はゆっくりと十字をきった。
(別にキリストでも何でもないがな)
結果から言おう。
結果は8―0で俺達の勝ち。
入れた点数は光が4、亮と陽壱が2ずつ。
キーパーという名ばかりの仕事をしていた俺は実は言うと一度もボールに触らなかった。いや、触れなかった。
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