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「まったく、それにしてもいつまでやってるつもりだよ光は」
陽壱から視線をはずして嘆息しながらもう一度女子どもを眺める。
時々光の悲鳴が聞こえてくるが抜け出せないのだろう。すでに涙声だし……。
「本当だ。いつまで俺達を待たせるつもりだアイツは」
……………
「てめぇ、いつのまにいやがった」
俺のぼやきに同意した奴を睨み付ける。
「ふむ。ちょうど今だが?」
さっき俺が死刑にした筈の亮が何食わぬ顔で横にいた。
「あ、亮。本当だ、いつのまに来たの?」
「陽壱が羨ましーと言っていたあたりからだ」
「嘘つけ!!居なかっただろう!?」
俺の突っ込みに潜んでいたからなと何か変な風呂敷を畳みながら答えた亮は風呂敷をカバンにしまうとズカズカ女子の渦の中に入っていってしまった。
「………ボコボコにしたはずなのに何でアイツはあんなにピンピンとしてやがるんだっ!」
「昔から亮はよくわからないからね…」
ボコボコって……と頭を抱えて唸っている隣で苦笑いしながら答えた陽壱に漫画の汗のようなマークがついているのは気のせいではないと思う。
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