第2話~エピソード~

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「ギイヤヤャャャーーーー…」 …! お堂の外で女の叫び声が聞こえた。 『和尚さん!』 「うむ…!」 私以外に、唯一動ける和尚さんと共にお堂の外へ駆け出す。 外に出て、私達が向けた視線の先に…ソレはいた。 二足歩行の筈のその身体は、まるで手を足のように前に着き その口は、耳元あたりまで裂けている。 突出した歯は、肉食獣を思わせる程に長く鋭利だ。 眼は、ある筈の白い部分は無くなり、全てが黒く染まっていた。 「……鬼だ。」 隣でガタガタと震えながら和尚さんが呟く。 「鎌司くん、あれが呪いのリスクだ…。 自らの生き霊を使ってまで掛けた呪いが君達によって、破られた。 それが呪詛返しとなって、自身の身に降りかかったのだ。 普通ならば、術者は死ぬ。 しかし彼女は、自分の魂を魔に染めて術を行使した為に、死ぬよりも恐ろしい、あの姿になったのだろう…。」 鬼は、「フウフウ」と激しい呼吸をしながら私達を睨みつける。 しかし、呪詛返しのダメージがあるのか、これ以上は襲ってくる気配は感じられない。 (ワタシノ邪魔スル・・・ユルサナイ・・・・・・。 鎌司・・・殺ス・・・必ズ殺シテ・・・ヤ・・・ル・・・・・・。) そう言うと、鬼は不気味な笑みを浮かべて飛び去っていった。 『ふう・・・』 何とか相手を退けた安堵感からだろうか。 私も和尚さんも、その場に座り込んだ。 どうやら、私はこれからも鬼に狙われる立場になってしまたらしい。 それにしても、お堂で助言をくれたあの声、そして結界を張ってくれたのは誰だったんだろう…。 恐らくは同一人物なのだろう…。 そこで私の意識は、遠のいていった……
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