願いを叶えるために。

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「リリン、あの計画の話なんだけど……」 『夜』の存在は、ただのおとぎ話だって言われている。 そんなのは分かってるんだ。 ただ、彼女のお姉さんがいなくなってしまったのは事実で、治療費が送られて来たのも……事実で。 「僕一人で行くことにしたよ」 今日は閉まっているドアの向こう側。 きっとリリンは、そこにいる。 「絶対、夜を連れてくるから」 思いはあの嵐の日に、もう決まっていたのかもしれない。 友達の泣いている姿を見て、何も出来ない自分が情けなくて……。 ウィスタの木々が風に揺れた。 予報によると、もうすぐ嵐が来るらしい。
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