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「僕の病気、大したことないって思ってたのに、そのせいで旅に出るお金が、姉さんが……」
リリンは困惑していた。
本当は落ち着かせなきゃいけない僕も、どうすれば良いのか分からなくて。
「…………」
「…………」
外の嵐の音だけが、ごうごうとうるさかった。
二人とも黙り込んで、ただ時間だけが過ぎていった。
そう言えば最近、リリンのお姉さんが夜について話してたなぁ。
……願いが叶う、って本当なんだろうか。
「夜…は、空の彼方に」
リリンが突然呟いた。
呟いて、ふらふらと、嵐の中に出ていった。
「リ、リリン!」
そこから先はあまり覚えていない。
無我夢中で彼女を追いかけて、部屋に連れ戻して……ああ、二人で朝まで泣いてたっけ。
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