頼りになるのは。

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「あ…」 お腹に触れた瞬間に、ボコッという感触がした。 赤ちゃんが動いているということがすぐにわかった。 想像していたよりもずっと力強い胎動に、あたしはただ驚いた。 「元気でしょ?赤ちゃんって本当に強いよね。だからしっかりしなきゃって、何回もこの子に助けられたよ」 「…」 すごいと思った。 この人はもう母親なんだ。 何も考えられない自分が、情けなく思えた。 「そんな顔しないで?悩みがいっぱいあるのかもしれないけど、自分なりの答えがきっと見つかるよ」 『藤堂さーん』 「あ、呼ばれちゃった。それじゃあ、またね」 その人は慌しく会計に向かった。 .
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